その1、腸粘膜のバリアを破る[リーキーガット]が慢性炎症の原因に
慢性炎症の引き金となる有害物質などの環境因子が体内に侵入して来るルートには4つ考えられます。
1、皮膚、傷口、または石油化学系製品によって皮膚表面の有用生物叢が死滅して病原微生物が侵入します。
2、呼吸器(気管支、肺)呼吸の際に流入する大気汚染をはじめ、ウイルスやバクテリアが侵入します。
3、性器、性交などにより病原性微生物が侵入することがあります。
4、消化器(腸)腸の粘膜を通って侵入します。
前回お伝えしましたが、最も重要なのが4の消化器、つまり腸の粘膜を通る経路です。私たち毎日食事を摂取する中で、消化管である腸は膨大な異物(抗原)にさらされるからです。
腸管に集結している白血球は異物を排除する[抗原抗体反応(免疫反応)]を担っていますが、この対象は、ある一定大きさのタンパク質構造を持った異物(抗原)です。このような大きさのタンパク質を持った異物が入ってくるのは、圧倒的に食事を通してです。私達の免疫系の85%は腸管にあるため、慢性炎症は腸通して起こるケースがとても多いのです。
しかし、皮膚と同じく腸壁にもバリアがあります。それは100種類以上、100兆個以上の腸内細菌で構成される腸粘膜そうの部分です。通常はそのバリアによって、バクテリアや未消化の巨大タンパク質などの異物を通さないようにしてます。
ところが[腸内細菌叢]とよばれる生態系が変化して腸の粘膜が薄くなったり穴が開いたりするため、細菌やウイルスなどの異物が体内に入りやすくなる場合があります。この腸のバリア機能を失った状態が[リーキーガット]と呼ばれるものです。
[リーク]は溺れる。[ガット]は腸という意味です。つまり、腸の粘膜から物質が漏れ出した状態を指します。本来体内に入るべきではない異物がスルーしてしまうのです。
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