前回お伝えした、リーキーガット(腸粘膜に穴が開く)の状態になると、バクテリア、ウイルスなど腸粘膜の表面にあった抗原が血液中に侵入します。
これを免疫系は[異物]と認識し、攻撃を始めます。
これは[内毒素血症]と言われるもので、炎症のスイッチをオンにする遺伝子が活性化し、様々な炎症性物質が体内で生産されます。
そして、炎症性物質は血液を駆け巡り、全身に慢性炎症が起こります。
それが、動脈硬化や糖尿病など多くの慢性病をもたらすのでです。
私達の体は、食べた物を腸に取り込む際、大きな分子を消化して小さな分子として吸収します。
このように、腸に穴が開くと、バクテリアやウイルスのタンパク質だけでなく、食物タンパク質の未消化の大きな分子も通過します。すると、体はこれを異物ととらえ、抗体を作って攻撃をしかけます。
たとえリーキーガットが改善しても、体内には抗体が残ってしまいます。
これがアレルギー反応を引き起こす原因になるのです。
そのため、腸粘膜が十分に発達してないリーキーガットである赤ちゃんに、早くから離乳食として色々な食材を与えるのは注意が必要です。大きな食物分子のまま腸管を通過し、異物と認識されたらアレルギー反応を起こします。
さらにやっかいなのは、腸の粘膜を通過した異物=抗原となるタンパク質の中には、私達の体を構成する組織と類似しているものがあることです。私達の体は、異物に対し白血球が反応して抗体を作ります。
この現象を[分子擬態]と言いますが、こうして作られた抗体、異物とよく似た体内組織を間違って攻撃します。これを[交差反応]と言います。
有名な例としては[リウマチ熱]があります。[A 群β容血性連鎖球菌]というバクテリアによる感染ですが、バクテリアの細胞壁と組織構成がよく似た心臓の筋肉を攻撃して慢性心筋炎が起こります。
また、リーキーガットは癌にも関係しています。
腸の粘膜には、癌を発生を強力おさえるグアニルサイクレースCというホルモンの受容体がありますが、リーキーガットによってその受容体がなくなってしまうと、腸から発癌性物質が無制限に吸収されます。そして腸、肝臓、肺、リンパ組織に癌を発生させることがわかっています。
その他にも、リーキーガットがメタボリックシンドロームを引き起こしたり、腸の粘膜からの消化酵素が不足するため栄養素が吸収されにくくなることも判明しています。
いずれにせよ、リーキーガットを防ぐ食事をすることが体質改善、さらには慢性病の根本治療につながるのです。
次回は、具体的にどのような物質がリーキーガットを引き起こすかをお伝えします。
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